つなぎ
先日「外資」の方で、アピールというテーマで書きました。外資という環境ではある意味それが重要なことの一つで、またそのためにはoutputのスキルが大事になってくるということを言いました。少しverbalな部分でのそのあたりのスキルについて考えてみましょう。
- outputのスキルとは言っても語学力そのものについては今までもところどころで触れてきています。inputあってのoutputだということも言ってきましたね。ここではその言語の習得の本道の部分以外の「小手先」の部分に触れましょう。
- ここで取り上げることは、言語の習得という意味から言えば「小手先」に見えるのですが、communicationという意味から言えば本当はとても大事なことです。ただ他言語を話しているという自意識が自分の中にあるうちにはなかなかそこまで頭が回らないのが現実のようです。
- さて、ある商品の仕様を合意するための電話会議での場としましょう。数カ国からの参加者もすべて揃いました。会議の進行はあなたです。日本語ならこんな感じでしょうか?:
- あなた: 「はい、ではそろそろ始めましょう。え〜と、議題はお配りしたものの順序でいいですね?」
- 参加者:「すいません。こちらはUKですが、うちの参加者が20分しか時間がないものがいるのでうちの関係事項から話せます?」
- あなた:「そうですか。他の国の参加者はそれでいいですね?はい、ではそこからいきましょう。」
- ---- 中略 ----
- あなた:「ではこの仕様はこれでいいですね。」
- 参加者:「いやいや、ちょっと待ってくださいよ。それではうちのマーケットは困ります。うち特有の市場要求もあり、それは合意できませんよ。」
- あなた:「う〜ん、わかりますが、問題はあなたの国のためだけにユニークな仕様を起こすのが採算に見合うかどうかですね。」
- 参加者:「どのくらい費用がかかるんですか?採算次第では開発側も考えてくれるんじゃないですか?」
- あなた:「確かにおっしゃるように、採算次第では不可能とは言いませんが、もう一つ、開発側の工数がとれるかどうかもありますね。かなりの工数だと思いますし」
- まぁ、よくある内容です。ここで問題にしたいのは内容ではありません。会話のつなぎです。ごらんのように日本語であれば進行役のあなたはなんの問題もなく、うまく「つないで」います。ただこれが英語でやるとなると途端にその辺がお留守になることがとても多いというのが現場の現状です。そんな一例を(つなぎ以外の言い回しもつなぎがまだできない典型的なレベルを想定して書いてます):
- You: Can we start now?........ Can we follow the agenda we provided?
- Participant: Excuse me. This is UK. Some of out participants have only 20 minutes, so can we start with UK related issues?
- You: Is it OK with other markets? ........ OK, Let's start with them.
You: Everybody is OK with this specification?- Participant: No, no, wait a minute! We've got a problem with it. I don't think we can agree with it as we have the unique market requirement for the feature.
- You: ....... I am not sure the unique development can make a business sense.
- Participants: How much would it cost? Depending on its business case, can the R&D department agree with the development?
- You: It is not impossible....... but another issue is resource availability at the R&D dept. I think it is significant resource.
- 内容的には成り立っています。問題は会話のキャッチボールがスムースでない、ということです。face-to-faceの会話であれば表情も仕草もあり、それらが潤滑油として働いてくれますのでまだ楽です。ただ電話会議などで、特に複数の回線から多数の人が参加している場合などには進行、そしてcommunicationそのものがぎくしゃくしがちになります。
- では一般に欧米人の人があなたの役をした場合の一例を載せてみましょう (Participantの部分は変えていません):
- You: ...All right, I guess we can start now. Uh... let's follow the agenda we sent, then.
- Participant: Excuse me. This is UK. Some of out participants have only 20 minutes, so can we start with UK related issues?
- You: Uh-huh, I assume all the others are OK with it?... OK. Let us start with them.
You: So.....uh..., everybody is OK with this specification, right?- Participant: No, no, wait a minute! We've got a problem with it. I don't think we can agree with it as we have the unique market requirement for the feature.
- You: Well, I see your point, Jim, but, you know..... I guess question is whether it makes a business sense to develop a unique specification only for your market, isn't it.
- Participants: How much would it cost? Depending on its business case, can the R&D department agree with the development?
- You: Certainly, it wouldn't be impossible depending on its business case as you say but....uh... another issue we need to resolve would be R&D resource contain-ability. I presume resource requirement for this is considerable. Would you agree, Jim?
- 次のページで個別にもう少し詳しく私の言いたいポイントを整理してみましょう。